企画展 - 2018.07.16

五感で長崎の伝統産業に触れられるイベント「くらわんか×長崎」がすごかった!前編

 

長崎県各地の伝統産業を伝える展示イベント「新日本の美意識 くらわんか×長崎」が、大阪にある阪急うめだ本店で催されました。長崎県で400年もの歴史を誇る窯業である「波佐見焼」の展示を中心に、長崎県波佐見町、彼杵(そのぎ)町、小値賀(おぢか)島、大村市の4つの町の伝統工芸品が一同に集結。長崎の伝統ある器や食材、ワークショップ体験が関西圏の大都市である大阪の地で楽しめる場とあり、会場は多くの来場客が訪れ熱気に包まれていました!

 

 

今回、この「新日本の美意識 くらわんか×長崎」をプロデュースしたのは、アートを活用して地域活性化に取り組む一般社団法人 金富良舎(コンプラシャ)の発起人であり、波佐見町出身・現代アーティストである松尾栄太郎さん。なぜ大阪の地を選んだのかを尋ねると、「波佐見焼と淀川には、もともと『くらわんか』という大阪弁を通じた歴史的なつながりがあります。そんな文化をきっかけに、食の都である大阪や関西圏のみなさまに、自然豊かな長崎の田舎で作られているモノや食材をお届けしたい。そんな思いから大阪でのイベントの実現に至りました」とのこと。そして、長崎県の産業にはまだまだ知られていないものや食材がたくさんあることから、ただ波佐見焼を展示するのではなく、民間による地域の連携と交流によってさらなる可能性を導き出したいという思いで、「くわらんか」にスポットを当てたそうです。

 

 

そもそも「くらわんか」とは、江戸時代初期、淀川で結ばれていた京都伏見と大阪間を往復していた旅客専用船「三十石船」が枚方付近を通るたびに、食料を積んだ小舟が「餅くらわんか〜、酒くらわんか〜」と声をかけながら食べ物を売りに来ていたそうです。そこから、この小舟が「くらわんか船」と呼ばれ、その商いに使われていた波佐見焼の食器が「くらわんか椀」として庶民にも普及したそう。大阪の食文化と波佐見焼が多くの旅人の空腹を満たしながら、淀川文化で繋がっていたことがわかります。

 

 

会場では、大阪・枚方の老舗である塩熊商店オリジナルの「くらわんか椀」も展示されていました。全体的な色合いやデザインは伝統あるものであるにもかかわらず、なんだか洗練されていて、不思議と全く古くさくない。手にもなじみやすいものばかりです。

 

 

松尾栄太郎さんが取り組む「HASAMIコンプラプロジェクト」のシンボルともなっている「コンプラ瓶」ですが、19世紀に長崎から海外に輸出していた酒や醤油を入れるための波佐見焼でできた瓶のことで、これを輸出していたのが「金富良商社」だったのです。「コンプラドール」とはポルトガル語で「仲買人」という意味で、金富良舎の名称の由来にもなっています。瓶口に記された「JAPANSCH ZAKI」の文字は、オランダ語で「日本の酒」を意味し、輸出にも耐え得る強度と機能美を備えて量産されました。

 

松尾さんは、「『金富良』の銘を受け継いだ金富良舎は、さまざまなジャンルのクリエイターが集まり成り立っています。人が繋がり、新しい価値を創造する学び舎として、そして優れた文化や価値観を伝承させていくべく、現代のコンプラドール(仲介人)として活動を続けていきたい。現在、メンバーの中心は30~40代ですが、今の10~20代にバトンタッチできるような環境づくりが必要だと考えています」と語ってくれました。

 

―つづく

 

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