レポート - 2017.07.09

日本の棚田百選:新潟県・十日町市「まつだい棚田バンク」の活動がすごい!

みなさんは、「日本の棚田百選」をご存知だろうか?
1999年7月農林水産省によって、日本全国の117市町村、134地区の棚田が「日本の棚田百選」に認定され、各地で保全活動が行われています。

 

 

そもそも「棚田」とは、
先人が山や谷を切り開き、石垣を積み上げ傾斜地に作られた田んぼで、山から流れ出す水を蓄え、
ダムの代わりを果たしながら稲を育てるという先人たちの知恵と苦労の結晶!
国土の保全、環境保全と同時に階段状に大小さまざまな形の水田が集まる千枚田の景観は溜息が出るほどの美しさ。
この日本の原風景である棚田を守る活動として、毎年「全国棚田サミット」が百選に選ばれた地で行われています。
今年の全国棚田サミットは、長崎県・波佐見町で行われます。



今回は、2009年に全国棚田サミットが行われた新潟県・十日町市の活動をご紹介します。



全国的に農家も高齢化が進んでいる中、自然と一体となり真剣に向き合う越後妻有里山協働機構の
「まつだい棚田バンク」



そもそもこの活動は、「人間は自然に内包される」という理念のもと、
美術を人間が自然と関わる術(すべ)と捉え、広大な里山を舞台に、人と自然とアートが織りなす「大地の芸術祭」(2000年~)がはじまり。
この活動で培ったネットワークを活かして、十日町市のできるだけ多くの田んぼを担い、美しい棚田を守るために活動しており、今では全国の棚田バンクの中で、里親数・耕作面積ともに日本一だそうです!



越後妻有は、縄文期からの豪雪や河岸段丘といった厳しい条件のなかで、米づくりをしてきた土地。
人々は、切り離すことができない人間と自然の関わり方を探りながら、濃密な集落を営んできたそうです。
その祖先にならい、彼らは、「人間は自然に内包される」という理念をかかげ、3年に1度の芸術祭が地域づくりの起点となるよう年間を通じて活動しています。


過疎化・高齢化が進む地の地域再生の契機として、地域資源の発見や地域の知恵の学習、住民との協働、空間を息づかせる制作というアートがもつ力を信じ、この地域づくりが企画されているのは大変興味深いですね。
人間と自然がどう関わっていくかという可能性を示すモデル地域となるのではないでしょうか。
5月には、まつだい棚田バンク田植えイベント2017が開催され、 里親、師父、スタッフも合わせると総勢350名以上の参加者が集まり、中には企業や大学のゼミなど、 団体で参加された方々もいて、参加者は年々増加しているそうです。

 

 

今年は初の試みでもある、プール育苗に挑戦。
背丈が短く若干植えづらさもあったが、 予定していた全ての田んぼを無事に植え終えることが出来ました!

 

 

「生き物観察会」では、カエル・ミズカマキリ・クロサンショウウオなど、水辺に住むたくさんの生き物を触ったり捕まえたりして、子ども達を中心に大人も童心に返って観察会を楽しんでいました。

 

 

星峠では、日本大学藝術学部の方々が田植えをしました。 
田植えをする前に、目印となる線を田んぼにつける「田枠ころがし」という作業を体験。
ここから、どんなアート作品が生まれるのか楽しみですね!

 

 

人間と自然がどう関わっていくかという可能性を追求する彼らの活動。
参加した子供たち、アーティストが、農業と、棚田と、自然と向き合い、守り、発展させるのか、これからも目が離せません。
次は、まつだい棚田バンク草刈りイベントが7月22日(土)に行われます。
棚田バンクの「里親」は随時募集中!みんなでこの活動を応援しましょう!
詳しくはこちら


そして23回目の棚田サミット2017年は、なんと、長崎県波佐見町!!!
テーマは、「棚田は21世紀の社交場」
人と人とのつながりを大切にし、日本の食卓を支えてきた波佐見町ならではのテーマではないですか!!
鬼木棚田はもちろん、陶郷中尾山などをめぐるツアーもあり、棚田で出会える人やもの、体験に期待が高まります。


9月28日(木)・29日(金)開催予定!
参加申し込みはこちら>>波佐見町役場