企画展 - 2019.4.24
日本・ポーランド国交樹立100周年記念「ショパン-200年の肖像」展
今年、日本とポーランドは国交樹立100周年を迎えました。これを記念して開催される「ショパン-200年の肖像」展では、今も世界中で愛され続けるポーランド出身の作曲家フリデリク・ショパン(1810-1849)の音楽と生涯を主軸に、自筆の楽譜や手紙、油彩画、版画、ポスター、彫刻、書籍など約250点が展示されます。
繊細な曲調やピアノ曲を多く作曲したことから“ピアノの詩人”と呼ばれるショパン。人々の心を惹きつけてやまない特別な音楽家をより深く知ることができるまたとない機会です。今回は本展で展示される作品をいくつかご紹介させて頂きます。
ショパン自筆の楽譜と手紙
ショパンの自筆の楽譜や手紙はとても厳重に保管されていて、所蔵されているフリデリク・ショパン博物館でも公開は限られているほど。今回は日本にいながら間近で鑑賞できる稀有な機会となります。ショパンは手紙以外の文章を書き残していないため、人間ショパンを知る手立てとして手紙がとても重要な役割を担っています。筆致からはその時々の心情が伝わってくるようです。日本語の翻訳文と一緒に鑑賞することで、ショパンを身近に感じることができるでしょう。
日本初公開《「エチュード ヘ長調 作品10の8」自筆譜(製版用)》
フリデリク・ショパン、1833年以前、インク、紙
Photo:The Fryderyk Chopin Institute
日本初公開《自筆の手紙 ー パリのヴォイチェフ・グジマワ宛て(エディンバラ、1848年10月3日)》
フリデリク・ショパン、1848年、インク、紙
Photo:The Fryderyk Chopin Institute
「フリデリク・ショパンの肖像」アリ・シェフェール作
ショパンの肖像画の中でも特に有名な作品のひとつ。オランダ出身のシェフェールはパリで活躍した画家で、ショパンと交流がありました。現在はパリでロマン派美術館となっているシェフェールの住居のアトリエには芸術家たちが集い、ショパンやリストらが演奏会を開いていたそうです。友人のシェフェールに向けられたショパンの温かな眼差し。シェフェールは、ショパンを貴族的、そして知性のある人として描いています。この作品はシェフェール自身が保有していたものです。
《フリデリク・ショパンの肖像》
アリ・シェフェール、1847年、油彩、カンヴァス
credit:Dordrechts Museum
ショパンが育ったポーランドの風景
ショパンがワルシャワを去ってほぼ一月後のクラコフスキェ・プシェドミェシチェ通りの風景。反ロシア蜂起(11月蜂起)が1830年に勃発した後、ポーランド王国の事実上の総監であったロシア皇帝の弟、コンスタンティン大公を捨てて帰還したポーランド軍部隊を、ワルシャワ市民が熱烈に歓迎している様子が描かれています。その後約半年間、蜂起は続きますが、ショパンは異国でその状況に一喜一憂することになります。
《ヴェジブノからのポーランド軍部隊の帰還》
マルチン・ザレスキ、1831年、油彩、カンヴァス
© by Ligier Piotr/Muzeum Narodowe w Warszawie
ショパンが病床で使用していたベル
ショパンが病床で人を呼ぶために日常的に使用していたベルです。ポーランド国家にとって貴重な宝のひとつですが、そればかりでなく異国の地の私たちにとってもショパンを理解し、ショパンの息づかいを感じさせてくれる命ある遺物といえます。
《ショパン所蔵のベル。中国趣味の布袋像》
作者不詳、19世紀、ブロンズ
photo:The Fryderyk Chopin Institute
ポーランド国立フリデリク・ショパン研究所の全面協力のもと開催される本展は、2019年10月に兵庫県立美術館にて開幕し、その後、福岡、東京、静岡と巡回予定です。日本初公開のものも複数展示され、あらゆる角度からショパンを知り、感じることができる特別な展覧会です。ぜひお誘いあわせの上、足を運ばれてみて下さい!
【開催概要】
・兵庫県立美術館
2019年10月12日(土)~12月1日(日)
・久留米市立美術館
2020年2月1日(土)~3月22日(日)
※東京会場は、練馬区立美術館にて、2020年4月-6月に開催予定
※静岡会場は、静岡市立美術館にて、2020年8月-9月に開催予定
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