企画展 - 2016.12.19

『次の日常を、考える』アーティストが繋ぐ地方産業とアート

現代の仲買人とは?
それは、思いを届けること、人の関係を取り持つこと、価値観を共有すること。

 

 

後継者となる若者、職人の減少という波佐見産業の次世代への危機感に対し、現代アーティスト・松尾栄太郎、庭人・山口陽介、波佐見焼ブランドマネージャー・馬場匡平が立ち上がり、現代の仲買人となるべく「HASAMIコンプラプロジェクト」を発足しました!ソトガワ美術館では彼らの活動を応援していきます!

長崎県波佐見町は、長崎県中央北部に位置し、佐賀県有田町・武雄市・嬉野市・佐世保市・川棚町と隣接する県境の町。
伝統産業である窯業「波佐見焼」と農業を中心に継承されている地域文化があることで、世代間を超えた地域のコミュニティーが根強く残っています。
少子化社会の時代が到来した現代において、これからの町の担い手となる若手人材が立ち上がり、地方における危機的状況を克服するべく地方の先陣を切って独自で地方創生に取り組んできた町であり、今ではHASAMIという地域ブランド名を確立し、観光事業にも波及効果が出てきているそうです。

 

「コンプラ瓶」ってなに?

このプロジェクト名にもある「コンプラ瓶」とは、19世紀に海外輸出用の酒や醤油を入れる瓶のことです。
表に「JAPANSCH ZAKI(日本の酒)」もしくは「JAPANSCH SOYA(日本の醤油)」とオランダ語で染付された特徴的な形状で、輸出にも耐え得る強度と機能美を備えたこの瓶を波佐見で量産していました。
長崎を通じてインドネシアやオランダなど欧州各国へ輸出され、ロシアの文豪トルストイもコンプラ瓶を一輪挿しとして使っていたと言われており、今ではコンプラ灯篭として姿を変え楽しまれています。
波佐見で生まれ、世界中で愛された「コンプラ瓶」をプロジェクトのシンボルとして、外側(器と地方)という立場から、様々なジャンルの専門家の総合力で、波佐見焼だけでなく、日本全国の地方産業が発展するべく、アートという視点で新たな価値を提案していく彼らから目が離せません!

 

 

活動はすべて、現代社会への問題提起や彼らの想いがあふれるものばかり。
メンバーである現代アーティスト 松尾栄太郎が、陶芸家 松井利夫を招聘し、使われなくなった器を焼成し、溶けて原型をとどめないものや、歪んで器同士が引っついたり、下絵が流れたりと様々な「窯変」によって生まれ変わった器の数々を展示する活動「サイネンショー」。

 

 

松尾栄太郎×波佐見焼ブランドマネージャー・馬場匡平は、使い捨ての紙コップ・紙皿を焼き物で表現し、「使い捨て文化を使い回し文化へと再生する」ことを訴えます。

 

 

松尾栄太郎×庭人・山口陽介は、光る飛び石に着手し、2016年度シンガポールガーデニングショーで見事金賞を受賞!!
波佐見焼の未来を担う波佐見高校美術工芸科とカメヤマキャンドルハウスによる、コンプラ灯篭とみかん箱を使った灯りのインスタレーションを波佐見町のシンボルとなる場「やきもの公園」にて実施するなど、幅広い活動を行っています。

 

2016年12月22日(木)〜25日(日)の4日間、

『次の日常を、考える』展示イベントを、EARTH + GALLERY(東京・木場)にて開催!

長崎県波佐見町で生まれ育った3人のアーティスト、松尾栄太郎、山口陽介、馬場匡平が、そこにいる人々と共に完成させるインスタレーション作品を制作、展示。
陶芸家 松井利夫は、不要陶器を穴窯で廃材を燃料に約1300度の高温で焼成し、溶けて原型をとどめないものや、歪んで器同士が引っついたり、下絵が流れたりと様々な「窯変」によって生まれ変わった器の数々「サイネンショー」を展示販売します。
また期間中、不要になった陶器を持参すると、サイネンショーの作品1つと交換できる「サイネンショーと器の交換会」(限定20個)があるそう。ご自宅で使われなくなった器を持って会場に足を運んでみてはいかがでしょう?

波佐見焼はひとりの職人がひとつのモノを作り上げるのではなく、分業制度でできているって知っていましたか?
器の原型ともなる「石膏型」を作る人、その型をもとに「生地」を作る人など複数の工程をチームワークでできる器。

その分業制をフードアーティスト田中真紀子が、フルコースディナーにして料理で表現し、12月23日(金)19時より10名様限定 お一人様5,000円(税込)でご提供いたします。
また田中真紀子の出身地である富山県のおいしい食材と波佐見町の食材をサンドイッチではさんで交流するワークショップ「サンドイッチジャーニー」を12月23日(金)13時と15時からの2回、各回15名様限定 お一人様3,800円(税込)にて開催予定!(予約制)

会場には、職人の撮影をライフワークとしているカメラマン山下千絵による波佐見焼職人たちの想いを映し出す写真やコンプラ灯篭とみかん箱の灯りのインスタレーション作品写真を展示していてるとか。
新しい年を迎える前に、「次の日常を、考える」
そんな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

期間:2016年12月22日(木)~12月25日(日) open 11:00/close 19:00
会場:EARTH+GALLERY
〒135-0042 東京都江東区木場3丁目18-17-1F
(木場駅3番出口から徒歩6分/門前仲町駅1番出口から徒歩10分)
TEL 03-5809-9949