皆さま、こんにちは フードディレクターの田中真紀子です。
昨年末の記事でご紹介させて頂きましたこの連載は、
アンティークショップENIGMEの双葉さんと、田中真紀子の2人で展開して行く企画です。
双葉さんにオススメのお皿を選定頂き、
わたしがその器から感じる世界感をお料理で表現して行きたいと思っております。
まずは、双葉さんを改めてご紹介させてください。
わたしと同じ富山県出身の深尾双葉さん。
大学を卒業後、食まわりに興味を持ちフードコーディネート論を学び、その後は珈琲屋や器屋にて勤務されていたそうですが、
高校時代に金沢ですごされていた事がきっかけで土地勘のある金沢で2010年にアンティークと器の店、ENIGME(エニグム)を開店されたようです。
現在は中医学に興味もあると言う好奇心旺盛でとっても素敵な彼女です。
それでは!
第一回目、今月のお皿をご紹介させて頂きます。
深尾:
はじめまして、ENIGMEの深尾双葉です。
今月からどうぞよろしくお願い致します。
選ぶ器に、真紀子さんが毎回どんなお料理を盛り付けられるのかわたしも楽しみにしています。
今回、ご提案させて頂く器は、金沢の漆芸作家 杉田明彦さんの作品です。
杉田さんは輪島で塗師の赤木明登さんに師事されたのち、独立され
現在は金沢を拠点に制作を行っています。
八寸のシンプルな丸皿で、下地の黒が見え隠れする落ち着いた赤を使用し、素材はイチョウです。
手に取ると非常に軽く、数枚重ねても難なく持ち運びができ、肌に表情があるので、手仕事ならではの有機的な空気感も感じる器です。
田中:
第一印象は、とってもシンプルに見える茶色の器ですが、手に取るととっても軽く近くで良く見ると黒に重ねられた朱赤が下地と混ざり合い奥深さを感じる重厚な作品ですね。
わたしが、この器に思い描いた景色は、北陸の冬を泳ぐ鰤の姿でした。
雪深い北陸の雪を表現する為、蕪をペーストにしバターと生クリームを混ぜてクリーミーなピュレに。
照りを与え炭火で焼いた肉厚な鰤に、青菜(春菊)を添えたお料理に致しました。
深尾:
今回のお料理は、自分にとっては新しい味でした。
バターの風味が感じられましたが、鰤の醤油味に不思議とはまります。
よくよく考えてみればバターと醤油って定番の組み合わせだよな、と後々腑に落ちた次第です。
箸休めに青菜をつまみつつ、何故 今ここに日本酒が無いのだろうか…と思わずこぼしてしまう。
そんなお酒の恋しくなる一品でした。
田中:
そうですね!笑
やはり、お魚にはお酒、北陸と言えば日本酒、このお皿の横にはとっくりとお猪口が似合いますね!
今回は、富山出身の2人が過ごしてきた北陸の冬を表した鰤をメインにしたお料理となりました。
来月は、どんな器が選ばれるのかわたしも愉しみです!
それでは、また次回をお楽しみに(^^)