企画展 - 2018.12.28

波佐見への移住ってどうなの?「地域おこし協力隊」OGが語る移住のあれこれ 前編

 

全国各地の地方で活躍している「地域おこし協力隊」の存在をご存知ですか?人口減少の著しい地方において地域外の人材を積極的に受け入れ地域活性化を図る、総務省が取り組む国を挙げてのプログラムです。今全国には5000人以上の隊員が活動し、その隊員数はこの制度がスタートした平成21年度から急速に拡大し続け、総務省は6年後を目処にさらに8000人まで拡充していくことを計画しています。そんな注目の「地域おこし協力隊」として波佐見町で3年間活動し、今もなお全国からの移住者をサポートしながら波佐見で活躍する福田奈都美さんに今回お話を伺いました。

 

福田さんはもともと福岡の出版社で編集者として勤務していましたが、2014年7月に「地域おこし協力隊」として波佐見町に移住されました。「旅行誌を手掛けていたのでもともと取材などでいろいろな町に伺うことも多く、町おこしには興味があったのですが、30歳を迎えたことを転機に、移住することを本格的に考え始めるようになりました。情報を発信するだけでなく、町おこしそのものに携わるお仕事に魅力を感じたんです」。

 

移住について調べてみて初めて「地域おこし協力隊」という制度があることを知ったという福田さん。「知らない土地に移り住むということにもちろん不安もありましたが、任期があるものなので、もしも上手くいかなかったら地元に帰ればいいやといった気持ちで思い切って飛び込んでみました。もともと器が好きだったので、器に関われる町ということで、当時募集がかかっていた佐賀の唐津市と長崎の波佐見町に応募。先に波佐見町から内定が出まして、これも縁なのだろうとすぐに移住を決めました」。移住が決まってからは、波佐見の役場の人たちの家探しや車の手配など手厚いサポートがあったこともあり、予想以上に安心して移住生活をスタートすることができたと語ります。

 

 

実際に波佐見に移住し、隊員としての活動が始まってからは、行政を介した仕事に初めて従事することもあり、あらゆるギャップに戸惑ったとか。「ひとつの企画を作ったとしても、役場の課や議会などいくつもの審議に通してもらわなければいけないんですね。準備期間に1年を要したり、予算も次年度分として早い段階で提出しなければならなかったり、3年という任期の中でやりたいことを実行していくスケジュール感、要領をつかんでいくのに当初は苦労しました。もし来月に行いたい企画を思いついてももう間に合わないのです。来年じゃなくて今やりたいのにって。そういった歯がゆさはありましたね。」

 

 

 

そういった手探りの状況の中で、福田さんは自身の編集のスキルを生かしたり、民間企業と協業したりしながら協力隊としての道を開拓していきます。「まずはこれまで地元の方たちが作っていたポスターやチラシなどを手掛けさせてもらい、プロのカメラマンやデザイナーに依頼するなどクオリティの良いものに仕上げていきました。するとだんだんと町の方にも口コミで広がっていって。いろいろな方から『うちのものも作って欲しい』とお声がけいただけるようになっていきました」。

 

 

金屋神社の町おこしとして、金屋郷の窯元「和山」と「器工房den」と取り組んだ『波佐見焼お守り』『コンプラ瓶おみくじ』などの企画も大きな反響を得ました。「はじめは地元の方たちも、外部からやってきた私に対してどこか警戒している部分もあったと思いますが、ひとつずつ自分ができることを示していくことで協力隊として信頼してもらえることができたと思います」。

 

仕事以外でも、プライベートの友人ができたり、夕飯に呼んでくれる家族ぐるみの付き合いができたりと、波佐見の地元の人たちに次第に受け入れられていったといいます。「陶芸の町である波佐見は、古くから焼き物の修行に来る人たちを受け入れてきた歴史もあるので、移住者にとても寛容な町なんです。気軽におうちに呼んでくれたり、波佐見の人たちはとても人懐っこいんですよ」。

 

 

後編へ続く

 

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